ふと杉浦日向子の「ゑひもせず」(ちくま文庫)を手にしてはまってしまった。江戸を舞台とした愛すべき小品というべき作品群は、知りもしない江戸の空気を確かな手応えで感じさせてくれるのだ。
箱入り娘の淡い恋心を描いた「袖もぎ様」、終わってしまった男女を点景する「もず」、通人気取りで吉原に繰り出す町人たちの「日々悠々」が特にいい。
杉浦日向子の初期作品ばかりなので練れてない部分も多々ある。しかし、描かれている風景の裏側にまで行き届いた想いがこれらを特別な作品にしている。他愛もないといえば他愛もない話ばかりだ。しかし、幸せな日常というものはこんなもので、気づかないうちに過ぎていくものなのだろう。
実は20ン年前に杉浦日向子の名前は「ぱふ」のレビューで見かけており「百日紅」の一部が鮮明に焼きついていたのだ。当時は象徴主義や審美主義を標榜していたので、ついぞ手にすることはなかった。しかし最近になってNAVI別冊の「助六」に触発され、そして店頭で出会ってしまったのだ。
「ニッポニア・ニッポン」、怪異譚「百物語」、古川柳をテーマにしたユーモアたっぷりの「風流江戸雀」、吉原を舞台にした様式性の強い「二つ枕」、葛飾北斎を主人公にした「百日紅」。立て続けに読んだのだが、どれも好きな作品ばかりだ。
しかし残る未読作品には当分手をつけないだろう。というのも杉浦日向子は既に江戸時代に旅立たれており、二度と新作を読むことはかなわないからだ。
未読の方は騙されたと思って手にしてほしい。これらの作品は江戸への時空を超えた通行手形なのだ。
箱入り娘の淡い恋心を描いた「袖もぎ様」、終わってしまった男女を点景する「もず」、通人気取りで吉原に繰り出す町人たちの「日々悠々」が特にいい。
杉浦日向子の初期作品ばかりなので練れてない部分も多々ある。しかし、描かれている風景の裏側にまで行き届いた想いがこれらを特別な作品にしている。他愛もないといえば他愛もない話ばかりだ。しかし、幸せな日常というものはこんなもので、気づかないうちに過ぎていくものなのだろう。
実は20ン年前に杉浦日向子の名前は「ぱふ」のレビューで見かけており「百日紅」の一部が鮮明に焼きついていたのだ。当時は象徴主義や審美主義を標榜していたので、ついぞ手にすることはなかった。しかし最近になってNAVI別冊の「助六」に触発され、そして店頭で出会ってしまったのだ。
「ニッポニア・ニッポン」、怪異譚「百物語」、古川柳をテーマにしたユーモアたっぷりの「風流江戸雀」、吉原を舞台にした様式性の強い「二つ枕」、葛飾北斎を主人公にした「百日紅」。立て続けに読んだのだが、どれも好きな作品ばかりだ。
しかし残る未読作品には当分手をつけないだろう。というのも杉浦日向子は既に江戸時代に旅立たれており、二度と新作を読むことはかなわないからだ。
未読の方は騙されたと思って手にしてほしい。これらの作品は江戸への時空を超えた通行手形なのだ。


